流れる雲




「本日も快晴なり」

 呟いて、お気に入りの木の根元に寝転がる。
 土、草、風のにおい。

 こんな日は昼寝に限る。

 任務さえなきゃ、ゆっくりできるのに。
 それもいつもの考え。

 空を見上げれば、ゆっくり雲が流れていく。




「オイ、起きろ」

 うとうとしていると、頭上から起こす声が聞こえた。

 それも、気の強そうな、女の声。

 目を開けると、にこにこ笑う、砂の国のくのいち。

「…お前…え…?」

「何だ?寝ぼけてるのか?それとも、私を忘れたのか?」




 テマリが居た。




「…な…どうして…」

「私にも色々用事があるんだよ。今日は仕事だ」

 溜息をつきつつ、俺の隣に座る。

「何で座ってんだ」

 起き上がってテマリを見ると、不思議そうな顔をする。

「何だ。私はお前の隣に座っちゃいけないのか?」

「そうじゃなくて、仕事は…」

「仕事なら終わらせてきた。今は自由時間だ」




 にやりと笑うテマリは、何か………いやいや!!




「……何一人で首振ってんだ?」

 気味悪い、とでも言いたそうな顔をされた。

「…や…何でも……」

「………お前、いつもこんなとこで昼寝してるのか?」

 空を見上げながら、そう呟く。

「…まぁな。気に入ってはいる」

「……いい場所だな」

「……そうか?」

 気に入って入るし、いいところだとは思う。
 だが、自分とテマリのそれが同じとは思えなかった。

「………いい場所さ。周りに人工のものがない。空も大きく見える」

 ビンゴ。

 いい意味で。

 同じ。

「雲も、流れるのがよく見える」

「…だろ?」




 不思議だ。




「お前、私を甘く見てただろ」

「……あ〜…ゴメン」

 お見通し、か。

「…好きな奴のことなら、解るんだよ」




 一瞬耳を疑って。

 テマリの顔を見て。

 ちょっと赤かったのを確認して。




「………そうだな…」




 そう言って、また横になった。

 今度は、テマリも一緒に。




 流れる雲を、一緒に見た。




END