手を繋いでくれたら


「手を…繋いでくださいますか?」

 勇気を出して言った一言が、報われるように。

 私は、あなたに微笑みかけた。






「………道蓮……」

 マルコたちの目を盗んで、散歩に出かけたのは何故か、私にも解らなかった。
 ただ、誰の邪魔も受けずに外に出たいと思っていたのは確か。

 そうして出会ったのは、道蓮だった。

「……なんだ?何か用か?」

 木の幹に寄りかかり、座って、何か難しい本を読んでいる蓮。

 そっけなく返すのは彼の正確故と知っているから、気にせずに彼の隣に腰を下ろした。

「何の本を読んでいるのですか?」

「……お前には関係ない」

「でも、興味があるのです。教えていただけませんか?」

 蓮の顔を見ると、照れたような、困ったような表情。

「…これは……人虎伝だ」

「…人虎伝?」

「人が虎になってしまう話だ。中国に古くから伝わっている」

 私には、あまり馴染みなく解らない内容。
 それでも、蓮は読んでいる。

「…面白いですか?」

「面白いと感じるかは、人それぞれだ。俺には答えられん」

 そう考えるのは、当然の事。
 何故か、顔が綻ぶ。

「あなたのことですから、もっとそっけない答えが返ってくるかと思っていました」

「どういう意味だ?」

「そのままの意味ですわ」

 微笑むと、頬を染める蓮。
 何故か、愛しく思えた。

「……あなたは、純粋なのですね」

「純粋?」

「えぇ、とても綺麗な心を持っていらっしゃいますわ」

 それは、汚れのない魂を持つから。

 見てきたものや、犯してきた罪とは関係のない、心。

「…言っている意味が解らん」

「解らなくて結構ですわ。私だけが、それを知っていれば」

 気高く、美しいあなた。




「帰りましょう、村へ」

 費も暮れてきた頃、そう告げた。

「1人で帰れ。俺はまだしばらくここに居る」

 空を見上げてそう返されて、少し胸が痛む。

「…そう、ですか…」

 仕方のないことだとは解っていても、何故か胸が痛い。

「………なら…私ももうしばらく…」

「お目付け役がうるさいだろう、早く帰ったほうがいい」

「ですが…」

 1人で帰りたくなかった。
 彼と、一緒に帰りたいと、思った。

「………帰るか」

 立ち上がって、道蓮は言った。

「え?」

「一緒に帰ろう」

 薄暗くても、頬が赤く染まっているのが解った。
 照れているのか、そっぽを向いている、彼。

「…はい、帰りましょう」

 嬉しくて、微笑んだ。




「あの………」

 一つの願いが浮かんで、どうしても叶えたくて、しばらく歩いた後、口を開いた。

「手を…繋いでくださいますか?」

 勇気を出して言った一言が、報われるように。

 私は、彼に微笑みかけた。

「………!?」

 驚いた顔で私を見る蓮は、耳まで紅かった。

「いけませんか?」

「いや…あの…」

 辺りを見回して、俯いたあと、彼は左手を差し出した。

「……途中までだからな」

「…ありがとうございます」

 子供の願いだと思われたのでしょうか。 

 それとも、少しは…




 私は彼の暖かい手を握り締めて、嬉しいという気持ちを全面に出して、帰途を辿った。
 彼の顔も、少しは嬉しそうだったと、思ってもいいでしょうか。




end




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初蓮アイ。5月に思いついて以来、色んな人に言い続けてました。
自分で書こうと思ったきっかけは、蓮アイの同盟を発見したから。

ていうかシャーマン終わってマジショックなんですが。
とりあえず、書き終わったことを私は嬉しく思いますが、それが暗い影を落とす。
アイアンメイデンの台詞とか読み込めばよかった。
もっと勉強してから書けばよかった。

蓮様大好きですvvv