深夜から降り続いていたらしい雪は、積もりに積もって辺り一面白銀の世界に変えた。
土方さんが分厚い綿入り半纏を着込んで如何にも寒がりですって顔して言った。 「土方さん、煙草の吸いすぎでさァ。血管が収縮して血が全身に行き渡らず冷え症になってるに違いねェ」 窓辺にいた俺は、土方さんを振り返らずにそう言った。 「あぁ…そうらしいな…指先が冷たくて仕方ねェ」 土方さんも自覚があるのか、文句も言わずに聞き流した。 「こんな日も見回りですかィ?」 「当たり前だ」 「サボっていいですかね?寒さでどうも体が動かねェ」 わざと身体をぎくしゃく動かしてみれば不機嫌そうな顔で睨んでくる。 別に怖くも何ともないけれど、後で煩いから行ってやろう。
道にはあまり足跡がなかった。 隣を歩く土方さんは、相変わらず煙草を吸っていた。
「こういう日に限って馬鹿が出て来るってこともあるだろ」 「きっと犬ですぜ、犬…歌にもある」
確かに奴らにしてみれば遊んでるだけなのかもしれない。
「土方さん、どうやら電車は運休みたいですぜ」 歩道橋から眼下を見下ろすと、駅があるのに線路が見えないほど雪が積もっていた。 「何でですかね?道を見失ったのかな…土方さんみたいに」 「総悟、お前…アレだろ、とりあえず俺にしときゃいいってだけだろ、そのキャスティング」 「土方さんはいつでも道を見失って血迷って…あ、違う、彷徨ってやすぜ…目は瞳孔開き気味ですがね」 煙草を持つ手が震えてたけど、特に言うことはないらしい。
「そうなんですかィ」 「道に迷いはしても選ぶのは自分だ。見失ってなんかない」 あぁ、なるほど。 「あ…電車が…」 ふと見れば、電車が動き出していた。
何故そんなことが解るのか。
それを辿れば次の場所へ行ける。 俺は土方さんと白い道に帰る場所に向かって跡を残す。
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