呆れるくらいの×××


「葉、これから一緒に散歩をしないか?」

 突然現れたハオは、そう言った。

「あぁ、構わんよ?」

 煎餅をバリボリ齧っていたオイラは、にへら、と笑って、それを承諾した。




「いきなり散歩をしないか、なんて…一体どうしたんだ?」

 歩きながら尋ねると、薄く笑って答えた。

「特に意味はないよ。ただ、葉と一緒に歩きたかったんだ」

「いつでも誘ってくれれば、オイラは一緒に歩くぞ?」

 だって、兄弟なんだから。
 そうじゃなくても。

「ふ…ありがとう」

 そう呟いて、ハオは右手を握ってきた。

「…?」

「兄弟なんだ、手を繋いでもいいだろう?」

 そう言えば、心を読めるんだったっけ。

「…あんまオイラの心、覗くなよ」

「心がけるよ」

 ハオの手は、暖かかった。
 生きているんだから、当たり前なんだろうけど。

 でも、それでも。
 暖かいと感じた。

 本当は、淋しいんだろう、って。
 そう思ってる。

 言ったら怒られるだろうし、言わないけど。
 言わなくても解るだろうし。

 ハオとは、たった2人きりの兄弟だ。
 オイラはハオのたった1人きりの弟。
 ハオはオイラのたった1人きりの兄。




「……葉」

 ふらふらとそこらへんを歩いて、宿に帰る途中。

「何だ?」

「………今度は、一緒に釣りをしようか」

「釣り?」

「釣り」

 ハオは、何を考えてるんだろう。
 どうして?

「………今までずっと、離れて生きてきたから……同じ時間を一緒に過ごしたいんだよ」

「…また読んだな」

「疑問に答えたまでだよ」

 にこにこ笑っていて。
 弱さを微塵にも人には見せようとしないハオ。

 オイラのことは、何だって解るくせに。

 オイラには、見せてくれない。




「……オイラ…」

 繋いでいた手を離して立ち止まって、ハオが振り向くのを魔って、口を開いた。

「いつか…ホントに、お互い、心から笑っていられる日が来たらいいな…って…思うんよ」




 それが叶う未来でも、叶わない未来でも。

 この、血の繋がった兄が。

 笑える日が来ることを。




「葉は子供だなぁ…」

 ハオが苦笑して、あんまり身長も変わらないのに頭を撫でてきた。

「未来なんて誰にも解らないよ…さすがに、この僕にもね」

 見つめられた瞳は、どこか儚くて。
 切ない。

「…オイラがシャーマンキングになったら」

 お前は自分がなるつもりだろうけど。

「お前も笑ってられる世界を作りたい」

 呆れられても構わない。

 でも、オイラはそれを望むんだ。

「………なれるなら、なって見せてくれよ」

 意地悪そうに笑われて、頷いた。

「いくらオイラの兄でも、遠慮はしない」

「僕もだよ」




 どうか、どうか。

 未来では2人とも笑っていられますように。




 世界中の人に、霊に、呆れられても構わない。










END

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×××の意味は「兄弟愛」です。
最初は考えてなかったけど、さなえさんに何、って言われて、考えました(オイ)
ハオ葉デス。ハオ葉っぽくなくてすみません…(号泣)
シャーマン初心者です(ぇ)好きなキャラは蓮様です!

難しいですね…ハオ葉って。