| 夢に見たいと願うもの。 |
| 「レナート、シグルドに何したんだ?」
「スリープしてもらってるだけだ、命には影響ない」 「そっか」
「…俺のことや、昴に言い寄ってたことだけな」 「そんなこと出来るんだ?」
今気づいたかのように気まずそうになって、レナートは頭をかく。
頭をぽんぽん叩かれて見上げた、レナートの顔。
「明日は、俺が昴の部屋に行くから」 俺の頬に優しくキスをして、レナートは消えた。 「…気障な奴」 嬉しくて顔が緩む。
リスルゥに呼ばれて下を向くと、リスルゥが倒れているシグルドを前足で指していた。 「ちょっと目がぴくぴくしてるよ、もうすぐ起きるよ」 「そうみたいだね」
「…ん…ここは?」 辺りを見回して、シグルドは不思議そうな顔をしていた。 「…シグルド、大丈夫か?」 シグルドから記憶が消えているというのは本当らしく、自分が何故ここに居るのか解らないようだった。
「…そう…だったか?すまない、記憶がない…」 とっさに考え付いた嘘を言うが、怪しむ様子はなかった。 「…あのな、俺とぶつかって、倒れちゃったんだ。ごめん」 浮かんだまま話すと、納得したように頷いた。
「…そうだな」 そう誘うと、シグルドはゆっくりと立ち上がった。
シグルドが俺を恋愛感情で好きだってこと、忘れればいいのに…ふと、無責任にもそう思った。
「マスタ?」 首を傾げるリスルゥをベッドに乗せて頷く。 「あのね、マスタ、いそがしいんだって」 「…何で?」
ヴェンツェルが何かを企んでいるということだろうか。 「だからしばらく昴と一緒にいるの」 「まぁ、猫のままなら…別に…」 人型だと、本当に…さすがに。 「終わったらマスタがリスルゥ迎えに来てくれるよ」 「ふぅん…って、何でそんな…いつの間にヴェンツェルに聞いたんだ?」 リスルゥがしっぽを振りながら笑う。 「昴がシグルドと射的やってるとき、マスタに逢ったの」 「へぇ…」 ヴェンツェルに祭は似合わないな、とちょっと思った。
仲が悪いはずの2人が一緒に祭に出るのもおかしな話だ。 「…ねぇ、昴、マスタに逢いたい?」 「…何で?」 「何となく」
「逢いたいってわけじゃないけど、聞きたいことがあるし」 「ふぅん…」 そのまま、リスルゥは疲れたのか寝てしまった。 俺は、布団を頭まで被って眠った。 それとも、俺自身の夢だろうか。
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