| 消せない記憶の中で輝くもの。 |
| 目を覚ましたら、頬が濡れていた。 寝ながら泣いていたらしい。
思い出そうとしたけど…怖かった記憶はない。 しばらく布団の中でもそもそ動いた後、起き上がる。
カーテンの隙間から射す朝日が眩しくて目を細める。 今日はスティラルカに会わなきゃ。
「昴君、おはようございます」 「おはようクラウス」 笑顔を向けるクラウスに、俺も笑顔を向ける。 「今日はスティラルカさんとお茶の予定なんですが、昴君もどうですか?」 スティラルカ?! 「うん、いいよ。スティラルカに用もあるし」 「そうなんですか。スティラルカさんはまた面白い色のお茶を持ってきてくださるそうですよ」 「へぇ…何時くらいに始めるんだ?」 「2時頃なんですが」 「じゃあ、俺ちょっと出かけてくるよ」 「はい」
俺、今何を考えてた?
「あ…うぅん。あ、ルツも…呼んでいいかな?」 「いいですよ。大歓迎です」 頭が痛い…でも我慢する。 「じゃあ、また後で」
「うわぁ…?!」 尻餅をつきそうになったけど、腕を掴まれて助けられた。 「大丈夫か?」 顔を上げると、シグルドが心配そうな顔をしていた。 「大丈夫。ごめん、ありがとう」 笑顔を見せると、そうか、と言われた。 「どこへ行く?」 「森。ルツのとこ」 「森か…モンスターには気をつけろ」
それがとても忌まわしいもので、
「……ぁ…うん。何でもない…俺、もう行くよ」
悲しくて、切なくて。 「クラウスは中にいるから…」 「…昴?」
シグルドには、申し訳ないと思ったけれど。
俺の持たない記憶。 大切なものを思い出せば、俺は本当の俺になれると思う。
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