世界で一番早く朝が来る場所〜永遠〜J
何も知らないお兄さんは、笑顔でそう訊ねてきた。 「お兄さんがしたいことでいいよ」 そう言えば、大佐は俺を抱きたいなんて言わなかった。 「…服を買いに行こうか?」 「服?」 意外なことを言われて驚いた。 「…君に似合う服」 「お兄さん、何か言いたそうだね」 じっと見つめると、バレたか、という顔をして言った。 「実はね…」
「…モデル…?」 「あぁ。全く同じというわけではなくて…容姿とか…私が見る限りのだがね」
「うぅん…出来たら読ませてね」 「あぁ」
気になったので訊ねてみた。 「…まだ決まっていないが…」 「…俺がつけてもいいかな?」 「構わないよ」 お兄さんは笑顔を向ける。 「どんな話?」 「……一応…一人の少女が…自分の幸せを探す話だよ」 お兄さんは少し考えてからそう言った。 「…ふぅん?」 「君のような黒く長い髪と、アメジストのような瞳を持つ少女のね」
俺は幸せを…昔は探していた。
「綺麗な言葉だね」 「うん」 そういえば、同じようなことを俺はリザさんに聞いて、大佐に言ったような気がする。 「それにするよ。ありがとう」 「あれでいいの?」 不安だ。 「いいよ」 お兄さんは嬉しそうな顔をしていた。
「…お兄さんたら〜…趣味を利用?」 「いや、そうでもないよ?」
「…そうだな…白か黒かな?」 「モノクロ?」
昔大佐に買ってもらったものとよく似たものが目に留まる。 「…ん?あれがいいのかい?」 お兄さんは俺の見ているものに目を向けて言った。 「…うぅん…いい」 目を外して呟いた。
大佐に愛されている感覚。
しばらく黙っていたお兄さんが言った。
顔、声、仕草。 大佐と同じ。 だけど、俺の中では大佐はもう居ない存在だ。 大佐の写真なんかないし、ただ自分の中にある大佐と重ね合わせているだけなのかもしれない。 だから確信なんかないんだ。
呟くように言ってお兄さんを見つめる。
それから、2人で店を回って黒のパンツに黒のシャツという何とも言いがたい買い物をした。 「君は肌が白いから黒によく映える」
大佐の瞳。 白よりも、ずっと身近なものだから。
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