世界で一番早く朝が来る場所〜永遠〜B




 3日後の午後。
 コレイユのハボックの家を訪ねた。




 家にはハボックしかおらず、居間に通されると話はすぐに始まった。

「…エンヴィーは店にずっと居ます。気に入った男だけを自分の部屋で相手にするそうで…」

 それでも、私が出会った頃と変わらず、相手が出来るのは金持ちだけだという。

「…大佐は生きていると何度説得しても嘘だの一点張りで」




 ハボックは私の電話のあと、逢いに行ったらしい。
 それでも、頑なにエンヴィーは拒むのだと。

 そうさせてしまったのは私だ。
 自分のことだけを考えていたのだから。




 店の名前と場所をハボックに聞いて、座っていた椅子から立ち上がった。




「……あの子の相手をしてくる」

「大佐…でも…」

 こんなに早く行動に移すとは思えなかったのだろうか。




「私だと解らなくても…気に入りはするだろうさ…」




 そんな自信がある自分は、自惚れているのだろうか。

 でも…そんな自信でもなければ、おかしくなってしまいそうだった。




 ハボックたちの家から少し離れた場所にあるガトー。
 日も暮れ始めた頃に到着した。

 エンヴィーが居るのはリュネという店。
 男も女も扱うらしい。




 大きな建物である店の前に立ち、深呼吸した。

 店に入ると、まだ若そうな女性が笑顔を向ける。

「いらっしゃいませ」

「この店にエンヴィーという名の子が居ると聞いたんだが」

 そう告げると、女性は言った。

「エンヴィーをご指名ですか?」

「そうだ」




 料金表のようなものを出し私に見せる。

「エンヴィーは最低50万かかりますが、よろしいですか?」

 私を上から下まで見て…金はあると判断したのか続ける。

「それに、エンヴィー自身がOKを出さないとお相手は出来ません」

 私は溜息をついた。

「どうするかは彼が決めるんだろう?是非審査してもらおうか」

 はい、と言い女性は手元の電話をとり610にかける。

「お客様です」

 そう一言だけ言い、切る。




 しばらくしてまだ眠そうなエンヴィーが現れた。

 別れた頃と変わらない…女の子のような…男の子のような、綺麗な顔。
 でもどこか憂いを帯びた表情だった。




 私を認めると、驚いた顔をした。
 しかし、すぐに泣きそうな顔になる。




「…君が…エンヴィーかい…?」




 平静を保って声を発した。
 エンヴィーは何と答えようか考え倦ねているようだった。




「……………」

「どうかしたかい?」

 うっすらと頬を染めてエンヴィーは口を開いた。

「…うぅん…何でもない。ねぇ…お兄さん…名前は…?」




 何かを期待するような口振り。
 少し掠れた、前と変わらない声。

「ウォルコットだ」

 前もって考えていた名前を告げる。

「……そう…」

 残念そうに言い、それでも微笑む。

「私はお相手してもらえるかな?」

「…ぅん…いいよ…」




 エンヴィーの細い指が頬に触れる。

「…部屋、行こう」




 受付の女性に何か指示を出し、私の手を取る。

 手を引かれるまま、エンヴィーについて行く。




 その手は、少し震えていた。