世界で一番早く朝が来る場所〜永遠〜@




 目を開くと、一面白の世界だった。

 それがただの天井と気付いたのは、辺りを見回したとき。

 白いカーテンが、開いた窓から入ってくる風に揺れていた。

 どうやら病院らしい。

 何故ここにいるのか考えた。

 記憶は、川岸で敵に追いつめられて…何度か銃で撃たれたあとに川に落ちたところで途切れていた。

 両手足はちゃんとついていた。




「…エンヴィー…」




 愛しいあの子の名前も呼べる。
 エンヴィーに…別れ際一方的にした約束は守れる。




 体を起こすと、丁度入ってきた看護婦に驚かれた。




「起きたんですか…」

「……はい…」

「河原に倒れていて…一週間、ずっと眠ったままだったんですよ」

「…ここは…?」

「ここはルリアンスの外れの、ヴァンという街の病院です」




 ルリアンスは母国。
 ヴァンは国境から少し離れた島状になっている街だ。




「あなた、軍人でしょう?奇跡的に荷物も無事だったから」

「……一応戦争に出ていたもので…」




 大佐という立場で小さな部隊を任されて…偵察をしている途中に敵に遭遇した。

 副隊長を任せた親友のヒューズがあとはどうにかしてくれたろうが、情けない。




「…戦争は、今日終わりました。ロイスが仲裁をして」

「…そうですか…」

 ならば、早々に軍に帰らなくては。

「…いつまでもここにいるわけにはいかない…帰りたいのですが…」

「そう言うと思っていました」

 苦笑して、看護婦は言った。

「寝ている間、ずっと『エンヴィー』って…呼んでいましたから…」




 夢を見ていたんだ。
 君が泣く夢を。

 泣いている君を抱きしめられない自分が情けなかった。
 すぐ傍にいない自分が嫌だった。

 私は君を愛している。
 世界中の誰よりも。




「…恋人?」

「………片想い中みたいなものです…」




 君に、大嫌いだと言われた。

 未練がましく君にキスをしたとき、君は眠りながら泣いていた。
 唇を離すと、「行かないで…」と。

 それでも、振り切るように離れて。
 書き置きを残した。

 「ごめん」と。

 約束を守れなくて。
 傍にいられなくて。




「…帰りたいんです…あの子のもとに……泣かせてばかりのあの子のもとに…」




 もう…私を本当に嫌いになってしまっただろうか。

 それはそれで仕方がない。
 私が自ら選んだ道なのだから。

 それでも、少しでも同じ道を歩むことを望んでいた。

 …エンヴィーに逢いたい…そして、伝えたい。

 君を愛していると。
 君以外愛せない。