世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜Q
何も知らないまま、生きていけたらよかったのに。
大佐が旅立って半年後…戦争はどこかの国の仲裁をもって終結した。
なのに、大佐は帰ってこなかった。
大佐は戦争が終わる直前に行方不明になったと聞いた。
血の付いた大佐の手袋が見付かったけど…生きてるのかも解らないと、大佐の親友が教えてくれた。
戦場は、世界規模で見ればそんなに遠くもない場所。
自分で探しに行きたいと思った。
どうしても…逢いたくてたまらない。
なのに、みんなに止められた。
2ヶ月経っても何の連絡もないまま…何もなかったかのように時間は進む。
いろんなことをあれこれ考えて…最悪のことを考えて。
目の前が暗くなった。
生きている心地がしなかった。
生きている意味なんかないと思った。
大佐が、自分に何かあったら、と示した約束の場所。
箱の鍵のある場所。
去年、大佐に初めて抱かれたのと同じ日。
一人で、約束の場所に行った。
岬の、一番大きな樹の根本。
掘れば、小さな箱。
鍵が入っていた。
部屋に持って帰って、送られてきた箱の鍵を開けた。
「……オルゴール…」
流れ出した曲は、俺が思いだした曲。
紙が中に入っていた。
開けば、思い出せなかった2番の歌詞。
逢えない時間はただ
過ぎていくしか
もう出来なくて
触れることも出来ず
やるせない
愛しいのに
こんな 自分だから
君を
傷つけていた
もしも
離れるなら
忘れていい
何もかもを
眩しいくらい
笑えるように
君が泣く姿もう見たくなくて
ただ幸せ願っている
絡まった糸が解けないのなら
切ってしまうしかなくて
まだ続いているはずなのに、歌詞はそこで切れていて。
「…や………っ…い…や…やだ……」
忘れろ。
そう言いたいことが解ってしまう。
自分が死んだら、忘れろ…そう言いたいことが…解る自分が嫌だ。
そんなの。
死ねって言ってるのと同じなんだよ。
「…ぃゃ…………大佐…っ………」
自分がどんなに大佐を愛しているか。
どんなに、依存しているか。
「………も…………やだ……嫌……」
何かを愛したら、失ったとき、同じだけの苦しみを味わう。
…あのとき、大佐が俺の手を引かなければ…大佐を好きにならなければ。
何よりも大切なものを失ったという現実が…何もかもを絶望に変えて。
唯一残っていた小さな希望さえ消した。
「……ぁ…ぁ…大佐………い…さ……ゃ……っ……いやあぁぁ───…!!」
…ねぇ、どうして神様は…俺から大切なものを奪うの?
大佐がいれば…それだけでよかったのに…よかったのに。
…服も…靴も…帽子も…指輪も…何もいらない…だから、大佐を返して。
…うぅん…大佐が生きていてくれればそれでいい。
俺なんか死んでいい。
大佐がいなきゃ……俺が生きてる意味なんか…ないんだよ。
-fin-
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