世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜P




 次の日、いつもより早く目が覚めた。

 まだうちの誰もが起き出していない午前5時…まだ薄暗い朝の空。




 …大佐……まだ眠っているの?
 どんな夢を見た?

 俺はね…大好きな大佐の夢を見たよ。
 俺が、大佐にさよならを伝えに街に出た日の夢。




 あれからまだそんなに時間は経っていないんだね。




 9時、リザさんたちは大佐の出征を見送りに行った。
 俺は敢えて行かなかった。
 その代わり、俺の家の懐中時計を渡してもらった。
 お守り代わりに。




 帰ってきてくれれば…また逢える。




 俺がずっと、大切にしてきた宝物。
 お願いだから、大佐を守って。

 俺の大好きな…大切なあの人を。




 俺が愛したたった一人のあなた。




 俺はいつだって、あなたが幸せであるように願う。




 怪我をしないで…また俺に会いに来て。
 迎えに来て。
 抱き締めて。




 もう二度と離れないって…ずっと一緒だって言って。






 青い空が眩しかった。






「あの日…約束したよね。ここの海岸で…一緒に夜明けを迎えようって」




 世界で最初に朝が来る場所。

 あなたと生きてゆく…そう決めたんだ。




 何よりも、誰よりも大切なのはあなただけなの。




 こんなに。




 大佐のことしか考えられない。






 日の高い昼、庭に出て一番大きな樹の根本に腰を下ろした。

 芝生に木漏れ日が揺れている。






 昔どこかで聴いた歌を思い出す。
 今の自分に当てはまるような気がした。






 揺れる木漏れ日見て

 離れた熱を 想い涙して

 あの日告げなかった

 この気持ち 悔やんでるよ




 君を失うのは

 望まない ただそれだけ

 いつか重なる未来

 追い求めて 手を伸ばして

 走り出した 届くようにと




 風が吹くこの街の中今君は

 何を想っているのだろう

 繋いでた指先ふいに思い出して

 切なくなっていくけど




 愛を忘れないように






 2番は思い出せない。

 何だっただろう。




 そんなことを想いながら、目を閉じた。