世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜O




 言い訳だとしても、本心だとしても、大佐の言いたいことはよく解った。

「…大佐が謝る必要ないのにね…」




 俺はただ傍にいたくて…わがままだった…それは大佐のせいじゃない。

 どうして謝るの。

 手紙を閉じて、指輪を左手の薬指にはめた。




「俺は…あんたのこと…ずっと待ってるよ…あんた以外の人とくっつくなんて考えられない」

 それは、確かな気持ちだから。
 俺が壊れるときはあんたを失ったとき。

 俺が生きていくのに必要なのはあんた。




「待ってる…」




 指輪にキスをして目を閉じた。




 そのまま、窓から射し込む日差しを浴びて眠ってしまった。




 そして夢を見た。

 大佐の夢。




 大佐は、俺にキスをしてこう言った。




「世界で一番、君を愛している」




 優しくて、大好きな大佐のキス。
 とてもいい香りがする大佐。




 目を覚ましたとき、あまりにもリアルすぎて、夢か現実か解らなかった。

 でも、きっとあれは現実。




 何故なら。




「起こせばいいのに」




 ドアに走り書きのメモが貼ってあった。




 「ごめん」




「……ねぇ、大佐。俺は大佐に、何か残せたかな?」




 大佐が俺に指輪を残したのとは違う。
 俺の中に大佐への気持ちが残ったかのように…何かを。




「…早く…帰ってきてよ…俺、浮気しちゃうよ」




 する気なんかないけれど、それでも淋しくて…きっと泣く。




 いつだって、心は一人だった。
 犯されて泣くばかりの俺には、友達なんかいなかった。
 エドワードたちを拾って、やっと友達が出来た。

 そして…あの日、大佐と出逢って。

 気持ちが安らぐ、好きな人が出来た。
 愛する人が出来た。




 一人ではないと、気付いた。




「…俺を…約束の場所に一人で行かせないで…お願い…」




 同じ未来を歩くために…同じ未来に向かうために。






 一人にしないで。