世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜G




 空は海のことを想い青くなる。

 海は空を見つめて青くなる。

 俺は大佐を想い…




「ねぇ、大佐は…俺から離れたりしないよね?」

 帰り道、大佐と手を繋いで浜辺を歩きながら言った。

「離れないよ」

「絶対?」

「絶対に」

「ずっと一緒?」

「あぁ、一緒だよ」

「じゃあ…約束」

「約束だ」




 こんな確認、気休めでしかないけれど。

 だって大佐は軍人だから。

 何かあれば俺が引き止めても、振り切って行かなくてはいけなくなる。

 きっと。






 大佐は空?
 俺は海?

 離れても、同じものを見ていられる?






 俺は大佐を想って、心が醜くなる。




「大佐を俺から奪わないで」

「大佐は俺の大切な人だから」

「大佐を傷つけないで…お願い」




 どうして大佐は軍人なんだろう。
 どうして俺は…ただの男なんだろう。

 何かが出来るわけでもない、ただの人。






「エンヴィー…」

 黙ってしまった俺を心配してか、大佐が声をかけた。

「あ…何?」

「…君は私を…どう思ってる?」

 大佐は優しい笑みで言った。

「大好きだよ」

「そうか」

「愛してるよ」

「ありがとう。私も君が大好きだし、愛してるよ」

「何でそんなこと聞くの?」

「…さぁ…?」

 何故か無性に聞きたくなったんだ、と大佐は言った。

「…変なの」




 そのまま他愛のない話をして家に向かった。
 でも、俺は何を話していたか覚えていない。




 頭の中で自分のことを考えていた。

 ほんの1ヶ月ちょっと前まで、俺は他人に抱かれることしか知らないただの娼夫でしかなかった。

 大佐に出逢って、まだ3ヶ月くらいしか経ってないんだね。

 今みたいな生活、夢でしかないと想ってた。




 家族が出来ること。
 大好きな人と過ごせること。

 今日は、指輪まで買ってもらった。

 だけど、こんな風に色んないいことが重なると。
 きっととてつもなく嫌なことが起きたとき、俺は正気ではいられない。
 そんな気がした。
 そして、その嫌なことは…すぐに来てしまうような。