世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜F




「エンヴィー、行こうか」

 しばらくして、大佐に声をかけられて我に返る。




「指輪は?」

「文字を入れるから時間がかかるんだ。また来たときに贈るよ」

 大佐は笑った。




「…今度、俺も何か大佐にあげる」

 店を出て、手を繋いで歩きながら、そう言った。




「この前は向日葵をくれたね」

「うん」

「君によく似合う花だよ…向日葵は」

「どうして?」

 首を傾げて大佐を見ると大佐は笑った。




「君の笑顔は眩しいから…向日葵畑の中で笑ったら、いいんじゃないかと…」




 真顔で、そんなこと言うなんて。

「バカ…」

 恥ずかしくなって大佐の手を離して帽子を深く被った。




「本気だよ」

「本気でも」

 恥ずかしい。




「…大佐は太陽だよ」

 ぽつりと呟く。

「太陽?」

「ずっと思ってた。大佐は太陽だって。俺は羨むしかできないんだって」




 俺が、見上げる最高の場所。

 朝を迎えるのに、必要不可欠な。




「なら、私は君を咲かす太陽だよ」

 大佐は俺の手をまた取って握る。

「君が笑うように」

「……俺は大佐の行動如何によって変わるってことだね?」

「そうなるな」

 大佐は苦笑した。




「浮気しちゃダメ」

「しないよ」

「嘘ついちゃダメ」

「そんなことするつもりはないが…」

「俺を悲しませないでね?」

「幸せにするよ?」






 そんな会話を交わして…ウィンドウショッピングしたり、浜辺を歩いたり。
 大佐にあまり人の来ない岬を教えてあげたりした。