世界で一番早く朝が来る場所〜約束の場所へ〜A




「エンヴィー、おはよう」

 ジャンさんが起きてきて、欠伸をしながら言った。

「おはよう、ジャンさん」

「朝飯は?」

「何か食べる?俺作るよ?」




 料理はしたことなかったけど、毎日リザさんの手伝いをしてるから、最近は出来るようになった。




「んじゃ、簡単なの頼むわ」




 卵とベーコンを出してきて、フライパンで焼いて。
 パンをトースターに入れて。




「お前、最近綺麗になったな」




 ジャンさんが椅子に座りながら言った。

「え?」

「恋してるからか?」

 ニヤニヤ笑ってる。

「…そ…かな…?」




 俺は男なのに。
 綺麗になった?




「お前は前から女顔だったし違和感はないけどな」

「…大佐は喜ぶかな」

「あ〜…あの人はお前なら何でもいいんじゃないか?」

「何でもって…」




 それは解ってる。
 外見で俺を選んだんじゃないって。




「はい、出来た」




 テーブルにトーストとベーコンエッグを出してジャンさんの前に座る。




「…明日、大佐が来るぞ?」




 突然放たれた言葉に、反応できなかった。




「え…何…」

「さっき、お前が起きてくる前に電話が鳴っただろ?」

 ていうか電話で目が覚めたんだけど(汗)

「明日、明後日と休みだから、お前に会いに来るってよ」

「え…な…何それ!起こしてくれればいいのに!!!」




 自分が悪いのに、人のせいにしてる俺。
 わがままだなぁ。




「いや〜…大佐がな、今お前を起こしに行くって言ったら、寝かせてやれって…」

「そんなん無視!もぅ…次からは絶対起こしてよね!」

 ジャンさんは苦笑して頷いた。

「解ったよ」

 大体にして、大佐に逢えるのがいつになるか解らないのだから、直接聞きたい声。




「…今日の仕事は?」

「今日は特に何もないよ。依頼が来次第だな」

「そう」




 ジャンさんが食べ終わるのを待って、俺は片付けを始めた。

「…あとは任せていいか?」

「どうせやらせるんだから、最初からやるってば」

 俺は笑いながら皿を流しに運ぶ。

「そうやってると、主婦みたいだな」




 ジャンさんは楽しそうに笑ってる。
 まぁ、ここに来てからかなり主婦じみてるとは思っていたけど。




「エプロンもしてないのに?」

「あぁ。してたらきっと大佐は喜ぶぜ」

「じゃあ、明日大佐に見せるよ」




 俺が大佐を好きなことを知っているから。
 逢えなくて淋しいことを知っているから。




 元気づけてくれるんだね。




 早く逢いたい。
 大佐の顔が見たい。
 声が聞きたい。
 抱きしめて、キスして…それから言って欲しい。






「愛してる」