世界で一番早く朝が来る場所Q
浜沿いに家があるからと、大佐と裸足で波打ち際を歩きながら向かう。
リザさんが言っていたことを、大佐に言ってみた。 「ほぅ、東だからか」 意識しなければそんなことも考えずに、一生を過ごせてしまう。 「ねぇ、いつか、一緒にこの浜で、朝を迎えよう」 立ち止まって、大佐を見上げて。 「あぁ、解った」 大佐は、頷いて、風で乱れる俺の髪を撫でてくれた。
息が止まった。
「私が君に嘘をついてどうする?」 大佐は苦笑しながら、自分の髪を押さえた。
うぅん、そんなこと、どうでもいい。 ただ、大佐が…俺を選んでくれるのならば。 それだけでいいの。
子供みたいに、嗚咽を繰り返して。
荷物を波の届かない場所に置いて、大佐が俺を引き寄せる。 「っ…待ってる…から…」
お願いだから、早く迎えに来てね。
唇を重ねて。 早く、時間が過ぎればいいと思った。
家に向かいながら、呟いた。 「何だ?」 大佐の暖かい右手が、俺の左手を握ってくれる。 「迎えに、じゃなくても…たまにでもいいから、逢いに来てね?」 ずっと逢えないなんて、きっと耐えられないから。 「あぁ、解った。時間が出来たら、毎日でも会いに行くよ」 「でも、無理はしないでね」 「大丈夫さ」 家に着くまで、あともう少し。
あなたと出会えて。 嬉しくて。 涙が止まらない。 早く、迎えに来て。
-fin- |