世界で一番早く朝が来る場所J




 望みなんか、もたなければ良かった。




 1週間後、死にたくなるような気持ちで客の待つホテルへ向かう。






「あんたを欲しいって人がいるのよ。最終的には逢って決めたいらしいから、ホテルに行ってちょうだい」




 主人にそう言われ、足取りも重く、かなり憂鬱な気分。




 だけど、いつものしょぼいラブホテルとは違って、高級なホテルだったことに驚いた。

「1248…」

 指定された部屋の前に立ち、ゆっくりと呼び鈴を鳴らした。






 このまま、どこかへ逃げたかった。
 行く場所も、逃げきれる可能性もないけど。

 浮かんだのは、大佐の顔だった。




 大佐と、どこかへ行きたい?






 ドアが開いて。

 現れたのは、ハボックさんだった。




「…ハボック…さん…?」

「あ、来たか。早かったな」




 にこりと笑う、その顔を見ても、何が何だかよく解らなかった。

「まァ、詳しいことは中で話すから」




 そう促されて入ると、リザさんも、エドワードもアルフォンスも居た。

「何…どういう…」

 ソファに座らされて、みんなを見回す。




「私たち、結婚することにしたの」




 リザさんがゆっくりと口を開いた。




「なかなか踏み出せなかったんだけど…決めたの」




 そう言って、ハボックさんの手を取り、俺に笑いかける。

「だから、親の居ない大将とアルフォンスを俺たちの養子にしようって思ってな」

 エドワードとアルフォンスは恥ずかしそうに笑った。

「でも、それに俺は関係ない…」




「あなたも、私たちの養子にならない?」




 リザさんの言葉に、耳を疑った。

「あなたがよければ、なんだけれど」

「だけど、俺…」

「店のことはもう問題ない。心配するな」

「え…」




 一体?




「返事は、明日でいいわ。良かったら荷物をまとめて明日、またここで」




 リザさんに頭を撫でられて、そこに「母親」というものを感じた。




 長い間忘れていたものは、心地よかった。






 明日出すべき答え。






 大体は、決まってる。




 ただ悩むのは。




「これは、自由なのかな…」




 俺の望み。

 自由に生きていきたい夢。




 リザさん達に手を振り部屋をあとにした。




 明日、ちゃんとした答えを出そう。




 出して…未来を迎えよう。






「大佐は…今どうしてるかな」






 薄暗い街の、灯りの一つ一つ。

 宿る思いは、人それぞれ。