世界で一番早く朝が来る場所G




 パーティーから一ヶ月後、普通の友達と出かけた。
 一年前、行き倒れかけてたその友達を、俺は拾った。

 それ以来、俺が唯一全てを話せる存在になった。




「俺、お前の気持ちはわかんないけどさ…その大佐ってやつ、きっとまた会いに来ると思うぜ?」

 レモンティーをすすりながらそう言う友達。

「俺の何でもないのに…どうしてやめろとか言うわけ?」

「好きだからだろ」

「でも、大佐の片想いだよ」

 ミルクティーを飲んで呟いた。




「あ?それ本気で言ってんのか?」




 カップをこつんとテーブルに置いて、訊き返す。




「本気」




「お前も大佐が好きなんだろ?」




 友達。

 エドワード・エルリックは、鋭い。




「だからって、立場が違いすぎる」






 それに、仕事をやめることなんか出来ない。






 大佐が、俺のために2億出して買うなら、その時点で俺は大佐のものになるけど。
 今の俺は、はどうあがいたって「娼夫」でしか有り得ない。




「それに…」




 大佐が俺を好きになる理由が解らない。

 「好き」に理由があったら、それは、本当の「好き」ではないのだろうけれど。




「お前、大佐のどこが好きなんだ?」




 唐突に訊かれて、返答に困った。




「…解らない」




 いつの間にか、大佐が好きになってたんだ。




 もしかしたら、出会った瞬間に。




 でも、どこが好きなのかなんて考えたことない。






「解るのは、大佐が俺を『エンヴィー』として見てくれてるのが嬉しいってことだけ」






「エンヴィー?」

 エドワードが首を傾げる。

「大佐が、俺に付けた名前」




 嫉妬や羨望という意味のその名で呼ぶのは、大佐だけ。




「お前、本名なんていうんだ?」




「忘れた」




 エドワードは、今は知り合いの小さな探偵事務所を弟と手伝っているからか、なかなか引き下がらない。




「…小さいときからずっと持ってる物とかない?」

「懐中時計ならあるけど…名前は書いてないよ」

「マジ?他には?」

「昔、避暑地で出会った人にもらった指輪かな?」




 2つとも守り抜いて、今でも肌身離さず持っている。




「ちょっと借りていいかな?」




「ダメ」

 即答すると、エドワードが「やっぱり」とぼやいた。

「なら、事務所に来いよ。一緒に調べよう」

 椅子から立ち上がって俺を見る。

「夕方までね」

 俺は頷いた。