世界で一番早く朝が来る場所A
好き好んで…性欲のためではなく、俺に近付こうとする奴に。 そいつは言った。 「一目惚れ」 だと。 出会いは突然。 街で擦れ違った時、いきなり腕を掴まれた。 「何…」 「君…」 そいつは軍服を着ていて…一目見てエリートだと解る容姿だった。 「何?急いでるんだけど」 「君…名前は?」 いきなり不躾にも名前を訊いてきた。 「…名前なんかない」 自分の名前なんて、忘れた。 「もういい?次の客が待ってる」 「…娼婦?」 「違う…娼夫、だよ」 俺は得意の「笑顔」をそいつに向けて、客の待ってるホテルに向かった。
あぁ、そういやあいつ軍人だったな。 言われて、殺されてもよかった…かな。 生まれ変わって、来世で自由に。
客の男は中年の、何かの会社の社長らしい。 顔も覚えてない。 そいつは、俺を「マリア」と呼んだ。 しつこいだけで、全然よくなんかないSEX。 どうしても気になるんだ。
「また頼む」 そんなことを付け足して。 頼まれたくもない。
そのままどこかへ逃げたいと、いつも思う。 逃げてるうちに店のやつに見付かって、捕まってしまう。 だから、逃げるためには俺が俺を永遠に買うしかない。 じゃあ、どうすればいい? どうすれば、俺は自由になれる? 本当の、自由に。 いつ、なれる? |