世界で一番早く朝が来る場所@




 いつか、この場所から逃げ出したいと思ってた。
 逃げ出して、人として最低限の自由と暮らしを手にいれて。
 見たくないものになんて眼を向けずに、広い世界に、ただただ感動したかった。

 これっぽっちの願いも叶わないなら、やはりこの世に神はいないのだと。
 そう思って、もう6年近くなる。




 奴隷




 ある日、親が突然消えた。
 そしてやってきたのは…奴隷商人。
 何も解らないまま、当時10才だった俺は売られた。

 最初の主人は街でも一番の金持ちの、青年実業家だった。

 優しい言葉に隠された薄汚い欲望。

 騙された俺は、犯されながら、ただ泣くしかなかった。




 3年ほどして、そいつが事業に失敗して俺を売るまで、毎日のように犯され続けた。
 その頃になると、もう涙なんか出なくて。

 マンネリ化した性交に嫌気がさしていたからか…笑顔で売り飛ばされてやった。

 俺は生活には困らないから、金なんか要らない。

 でも、もし自由になるのに金が要るなら、人を殺してでも、手にいれたいと思っていた。

 力も何もなくて、あるのは体だけ。

 それでも、思っていたんだ。




 次に俺を手にいれたのは、どこかの街の市長だった。
 2年間散々俺を貪り、友人知人に貸し与えては金を儲けて。
 その後、資金の遣い込みがバレて失脚。

 俺を買った奴はみんな地の底に突き落とされる。
 俺のせいでなくても、俺のせいに見える。

 だからか、俺はその後俺を買った奴隷商人が気まぐれで始めた娼館で男の相手をするようになった。

 どこをどうすれば男が悦ぶか、どんな風にしてれば感じてるように見えるか、いつの間にか学んでいたから。

 金があり余ったやつらの相手に、何も困りはしなかったけれど。

 いつからか思うようになった。

 いつか、俺を愛してくれる人が現れて、優しく抱き締めてくれるんじゃないかって。

 俺を、ここから連れ出してくれるんじゃないかって。

 でも、一晩好き勝手するだけでも50万はする俺を買うとすると、稼ぎ頭の俺の全てを買うわけだから、ゆうに2億は下らないはず。

 第一、そんな金を出してまで俺を買おうなんて物好きはいない。

 でも、それでも少しくらい夢を見ていたい、と、毎日毎日、居もしない神に向かって祈っていた。