「エンヴィー、あなた、どうしたの?」

鏡に映るラストが呆れた顔で俺を見ている。

「………お化粧」

「お化粧???」

意味が解らない、という顔に変わったラスト。

「おばはんだってしてるだろ、おばはんのクセに」

「今度言ったら、あんたのその自慢の顔、キズだらけにしてやるわよ」

振り向いて、にっこり笑ってやった。

「別に?されたって、すぐ元に戻るから問題ないよ」

「さもなくば殺してやるわ」

睨まれて、怯える振りをした。



「で、何でまた化粧なんて…」

「化粧をすると、変われるって、本に書いてあったから」

いつもとは違う自分に、なれるって。

「それだけ?」

「あとは…その…………あの人に…可愛いって言ってもらえたらな…って」

あの人、とは、俺の好きな人、で。

「…焔の大佐?」

「…そ〜だよ」

最近、忙しくて逢ってなくって。
明日は珍しく、大佐は空いてるから。

「…練習してんの」

「………変身すりゃいいのに」

「ダメなんだって、それじゃ」

自分で苦労しなきゃ。

「………仕方ないわね…ほら、ファンデーション塗りすぎよ」

ラストが口紅の色がどうとか、アイシャドウの色がどうとか、煩く言ってきた。
でも、やってくれるなら、教えてくれるなら、仕方ない。

「何にもしてないのにほっぺ、紅いわよ」

「いいの〜…大佐、喜んでくれるかな…」

全部、大佐のためだから。




END