雪が降る。

音もなく、ただ降り続ける。

どうしてかな。

こんな夜は、無性に淋しくなる。



「こんばんは」

深夜なのに、明かりのともる部屋の窓を叩いて、呼びかけた。
この部屋を訪ねるのは、一ヶ月ぶりくらい。

「久しぶりだな…エンヴィー…こんな時間にどうした?」

窓を開けて、コートに積もった雪を払う人。

「ちょっと、寄ったから」

窓から尋ねる人なんて、おかしいけど。
もう長いことずっと、こうしてこの人を訪ねている。

「エンヴィー」

抱き入れられた部屋の温度は、暖かくて。
何故か、涙が出た。

「どうして泣く?」
「…どうしてだろうね?」

涙を親指で拭われて。
微笑みかけた。

「大佐は………」

大佐だから。
頻繁に会えないし。

「雪、好き?」

「好きだよ」

「俺とどっちが好き?」

「君に決まっているだろう?」

冷えた身体を抱きしめられて、唇を奪われた。

「……俺、雪、好きだよ」

あんたの黒が、映えるから。

「もちろん…」

「大佐の方が、大好きだけどね」




END