降り出した雨B |
| 思わず口付けたくなる顔。 顔をゆっくりと近づけた。 「…っん……」 寸前にエンヴィーが寝返りを打って体が反対を向いた。 「……するなってことか…?」 苦笑して起き上がる。 「…雨…止んだな」 呟いて、ベッドを降りる。 外の草木はまだ濡れている。 こんな風にエンヴィーと朝を迎えるなんて、思いもしなかった。
「朝だぞ、起きろ、エンヴィー!」 「ほぇあぅ?!」 ビクッと体を震わせてエンヴィーが起き上がった。 「何?!」 「朝だから起こしたんだよ」 ちょっとだけ涙目になって、エンヴィーが俺を見た。 「…もっと優しく起こしてよ…」 「どんな風に?」 エンヴィーは首を傾げた。 「朝よ、お・き・て☆みたいな?」 「バカかお前」 何を間違った新婚マンガみたいな。 「…おチビさんの好きそうなのを狙ったのに…」 好きじゃないし。
エンヴィーが呟く。 「…好き…だよ」 突然の告白。 「ぇ?」 「好き」 真剣な顔で、そう言った。 「俺を…?」 「うん」 微笑むエンヴィーに俺は何も言えない。 「…ずっと…言いたかったんだ…」 ただ、見つめるだけ。 「おチビさんが好き」 「……ぁ…ぅん…ありがとう…」 何か言わなくちゃと、そう口を開いて言った。 「…おチビさんの答えは…いつでもいいから聴かせてね」
「いつかするよ」 それはいつになるか解らないけど。 「いい返事がいいな」 きっとそれは本心。 きっと幸せにする。
どこか淋しそうに笑うエンヴィー。 「気をつけろよ」 敵だと解ってはいるけど。 「またねおチビさん」 頬に、柔らかい感触。 「ぇ…」 エンヴィーを見れば悪戯っぽく笑って。 「バイバイ」 何も言えないままあいつが消えていくのを見送った。
呟いて見上げた空。 降り出した雨はいつか止む。
まだ、ずっと。
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