evergreen*1*




 逢いたい。
 逢いたい。

 ずっと逢えなかったあの人に。

 逢いたくても逢えなかったあの人に。

 逢いたい。

 自分を作った人。




「父さん」




 光の中で呼んだ。
 逢いたくて仕方ない。

 恨んでるけど。
 でも恨んでばっかりじゃない。

 ただ…知りたかったんだ。

 俺を作った理由。
 捨てた理由。

 好きだった。
 子供として純粋に。

 だから…裏切られたと知ったとき、本当に憎んだ。

 だからあいつも嫌いだった。




 鋼のおチビさん。






 あれからどのくらい経ったか。
 気がつくと、アルを連れ戻そうとした俺はまた扉の向こうの世界にいた。
 呆然としていたところを親父に見つけられた。

「また戻ってきたのか…いや、違うな…そのままこっちに来たのか」

 最初は親父が何を言っていたのか解らなかった。
 だが、機械鎧がこの世界で言う義手、義足というものに変わっていたことでその意味を知った。

「…俺は…」

 何故ここにいるんだろう?

 いや、それよりも気になること。




「親父…エンヴィーはどこだ?」




 親父が居るからと扉の向こうに向かったエンヴィー。
 人造人間なのに、妙に人間らしく親への情があるあいつ。
 俺の…兄である…あいつ。

「…エンヴィー…?」

「こっちに来たはずなんだ…親父に逢うって…」

 来ていないのか?

「…逢っては居ないな…来ていたとしても、何処にいるかは解らない」




 親父にしてみれば、俺を見つけたのもただの偶然らしい。




 エンヴィーはきっと淋しかったんだ。
 父親に捨てられたと思ってたはずだ。
 人造人間だとしても、一人の人間としての感情はある。
 グリードやラスト…ラースがそうだったように。




「俺…エンヴィーを探してくる」

「この世界のどこに居るか解らないんだぞ?」

「大丈夫…親父を思ってこっちに来たんだ…きっと近くに居る」

 確信はないけど、そう思った。
 親父は驚いていたけど…でも笑って言った。

「…そうだな…」

 親父は、父親の顔をしていた。




「エンヴィーを…よろしく頼む」

 そう送り出す親父に背を向けエンヴィーを探しに出た。
 あてなんかないし、この世界の地理も解らない。
 それでも、あいつが心配だった。




 敵のはずのあいつが。




 この世界に来てしまえば、敵だとかはもう関係ないだろう。
 俺が錬金術を使えないのと同じように、あいつはきっと変身なんか出来ない。
 でも、あいつは人造人間なんだ。




 解らない。




 あの長い黒髪の姿でいるか…本当に来ているか。