逢いたい。
逢いたい。 ずっと逢えなかったあの人に。
逢いたくても逢えなかったあの人に。
逢いたい。
自分を作った人。
「父さん」
光の中で呼んだ。
逢いたくて仕方ない。
恨んでるけど。
でも恨んでばっかりじゃない。
ただ…知りたかったんだ。
俺を作った理由。
捨てた理由。
好きだった。
子供として純粋に。
だから…裏切られたと知ったとき、本当に憎んだ。
だからあいつも嫌いだった。
鋼のおチビさん。
あれからどのくらい経ったか。
気がつくと、アルを連れ戻そうとした俺はまた扉の向こうの世界にいた。
呆然としていたところを親父に見つけられた。
「また戻ってきたのか…いや、違うな…そのままこっちに来たのか」
最初は親父が何を言っていたのか解らなかった。
だが、機械鎧がこの世界で言う義手、義足というものに変わっていたことでその意味を知った。
「…俺は…」
何故ここにいるんだろう?
いや、それよりも気になること。
「親父…エンヴィーはどこだ?」
親父が居るからと扉の向こうに向かったエンヴィー。
人造人間なのに、妙に人間らしく親への情があるあいつ。
俺の…兄である…あいつ。
「…エンヴィー…?」
「こっちに来たはずなんだ…親父に逢うって…」
来ていないのか?
「…逢っては居ないな…来ていたとしても、何処にいるかは解らない」
親父にしてみれば、俺を見つけたのもただの偶然らしい。
エンヴィーはきっと淋しかったんだ。
父親に捨てられたと思ってたはずだ。
人造人間だとしても、一人の人間としての感情はある。
グリードやラスト…ラースがそうだったように。
「俺…エンヴィーを探してくる」
「この世界のどこに居るか解らないんだぞ?」
「大丈夫…親父を思ってこっちに来たんだ…きっと近くに居る」
確信はないけど、そう思った。
親父は驚いていたけど…でも笑って言った。
「…そうだな…」
親父は、父親の顔をしていた。
「エンヴィーを…よろしく頼む」
そう送り出す親父に背を向けエンヴィーを探しに出た。
あてなんかないし、この世界の地理も解らない。
それでも、あいつが心配だった。
敵のはずのあいつが。
この世界に来てしまえば、敵だとかはもう関係ないだろう。
俺が錬金術を使えないのと同じように、あいつはきっと変身なんか出来ない。
でも、あいつは人造人間なんだ。
解らない。
あの長い黒髪の姿でいるか…本当に来ているか。
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