甘い時間。
「政宗殿〜!」




 大声とどたどた廊下を走る音が聞こえ、自室にいた政宗は溜息を吐いた。




「政宗殿、お久しゅうござる!」




 すぱーん!と障子を開いて入ってきた幸村に、呆れた声で政宗が言う。




「何しに来た、幸村」

「政宗殿への書状を届けに参った」

「そりゃご苦労だったな」




 政宗はそう呟くと目線を下げ、それにつられて胡座をかいている政宗の右膝に目を向けた幸村は、あ、と声をあげた。




「静かにしてろよ」

「申し訳ない、気付かなかった」




 そこにはすやすやと穏やかな寝息をたてて小十郎が眠っていた。




「疲れてるんだろ…少しだけ休むと言ってたが、まだ起きねぇ」




 政宗の言葉は優しく、起こす気はないというのが幸村には解った。
 眠る小十郎を見つめる政宗の瞳はとても優しく、奥州の独眼竜がこんな穏やかな時間を過ごし、愛しい人にだけ向ける表情を持っているなど、誰が想像するだろう。




「政宗殿、幸せそうでござるな」

「まぁな」




 その後、政宗と幸村は後から来た佐助とともに目が覚めた小十郎と4人でお茶とずんだもちをいただきましたとさ。