冷たい雨が降っている。
雨の雫が降り注ぐ。 庭に裸足で立ち空を見上げる俺の全身を濡らしていく。
「梵天丸様、お風邪を召されてしまいますよ」
後ろから小十郎の優しい声が聞こえた。
「平気だ」
「そうですか」
小十郎が差し出した傘により雨が遮られ、頭に手ぬぐいが乗った。
「でも、心配ですから。お部屋に戻りましょう」
手を引こうとしたのを振り解き小十郎に抱き付いた。
「若?」
「小十郎…お前だけだ。俺を守ろうとしてくれるのは」
涙が溢れてきた。
抱きついた小十郎の着物に涙が染み込んでいく。
「そんなことはありませんよ」
「でも…」
「もし仮に今そうだとしても、これから先の未来、若をお守りしたいと思う者が沢山集まりましょう」
そう言って手ぬぐいごと頭を撫でてくれる優しい手、優しい人。
「どうぞ、小十郎に立派なお姿を見せて下さいませ」
その言葉に頷いて、小十郎の手を取った。
小十郎の手は温かい。
この存在を守りたい。
そう思った。
終
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