| 当たり前のこと。 |
| 朝から殿の様子がおかしい。 毎朝私が起こしに行くまで絶対に起きようとしないのに、今朝は起きて支度を済ませていた。 それも、自力で起きたのではなく成実に起こさせたらしい。
本気でそう思い悩み、一日らしくない失敗を重ねていた。
「片倉殿はいつも苦労なさっているんですね」 「はい?」 首を傾げると、成実はくすくす笑う。 「殿の子守は絶対に片倉殿じゃなきゃ無理です」
訊ねると肩をぽんと叩かれた。 「そろそろ殿が片倉殿を呼びます、自分で聞いてください」
「やっぱ小十郎じゃなきゃ無理だ」 心底疲れたようにそう言われ、意味が解らず首を傾げた。 「今日はお前に楽させてやろうと思って成実に色々やらせたが、あいつは気が利かない」 「はぁ」
「成実にも、私でなくては駄目だと言われましたよ」 「そりゃ、お前は俺のために生まれ生きてるんだからな」 笑顔でそう言われ少し恥ずかしくなる。 「私は殿に苦労させられるほうが性に合うみたいですよ」 「…でも、たまには休めよ」 「…はい」
たまにはこんな日もいいかも、そう思いながら殿に抱きしめられていた。
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