流れ星
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「梵天丸様、流れ星に願いごとを三度言うと、叶うそうですよ」




 綱元にそう言われて、梵天丸は毎晩夜空を見上げるようになった。
 流れ星に叶えて欲しい願いごとを三度言うために。

 叶えて欲しいことは沢山ある。
 欲張りであるのは解っていた。




 だが、一番叶えて欲しいことは決まっていた。
 どうしても、欲しかった。




 梵天丸は母親に醜い、と言われてから、人前に出るのを恐れた。
 子供ながらも、傷つくだけであると悟ったのだ。
 極力人目を避けて過ごしていた。




「梵天丸、おいで」




 父である輝宗に呼ばれ、梵天丸は父のもとへ行った。
 そしてそこに居るのが輝宗だけでないことを知り、怯んだ。




「大丈夫だよ、お前を虐めたりしない」




 輝宗にそう言われ、恐る恐る輝宗の前に座った。
 輝宗の傍にいたのは、綺麗な少年だった。




「紹介しよう、彼は私の小姓の片倉小十郎だ」




「初めまして、梵天丸様。片倉小十郎景綱と申します」

 そう挨拶をし、梵天丸と目が合うと、小十郎はにっこりと笑った。
 その笑顔を見て、梵天丸は胸の奥に何かを感じた。




「今日から梵天丸の傍について、剣術や手習いを教えることになる」

「父上、それは…」

「お前は私の息子だ、いつまでも弱いままではいけないよ」




 梵天丸が病のせいか内気であることを輝宗は気にしていた。
 小十郎が傍につくことでそれが改善されれば、と思ったのだ。




「誠心誠意、梵天丸様にお教えいたします」




 小十郎の言葉に、政宗は頷いた。
 小十郎になら心を開ける…そう思った。